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【イ軍編42】死せるイ軍、生けるバ軍を走らす
自他共に認める「球界の盟主」ことバ軍。
その日のホームゲーム、先発全員安打、15-1と大勝したにも関わらず、主力全員が東京ドームに居残り、激しい打撃練習を行ったものである。しかも、打撃投手にエース始め主力を何人も登板させる本格的なものであった。
この時、初めて一軍に上がっていた若手の鍵谷は、ただただ仰天するばかりであった。勝利至上主義の球団とはいえ、大勝試合の後にここまでやるものなのか…。年の近い正遊撃手の野田に、思わず唸ってしまったものである。
「野田さん、あれだけ派手に打ち勝ったのに、ここまで凄い居残り練習やるなんて…。バ軍はやっぱパネェですね」
だが、それに対する野田の答えは、鍵谷の想定した範囲と完全に次元が違うものなのであった。
「いつもこんな事やってるワケじゃねえよ。今日はイ軍の草野球並の投手が相手だったから、こうやってプロの球を打ち込んで感覚を戻しとかねえと、打撃の感覚が狂って大変な事になっちまうんだよ。全く、イ軍のショボさはマジでいい迷惑だぜ」




