【イ軍編2846】最弱イ軍監督就任、百人プレゼンの道
「球界の盟主」バ軍で強打の遊撃手として鳴らした衛藤が、引退後は守備走塁コーチに就任。そのカリスマ性で現場の支持を集め過ぎてしまった事が災いし、「彼奴は監督に野心あり」と警戒したアンチ一派の画策で、球団を放逐されてしまったものである。
復讐に燃える衛藤は、バ軍を頃すべく就活を開始したのであるが、バ軍対策で頭を痛めるセ5球団が特に熱心で、その中でも最弱イ軍が「衛藤はんが来てくれたらウチは優勝間違いなし! ユーが球史を作るんやで」てな感じで右手にロマン、左手に札束(適当)の勧誘二刀流(超適当)で一歩リードしていたのであった。
果たして、イ軍とセのマ軍の一騎打ちに絞られた最終段階で、衛藤はオーナー筋からの面談・プレゼン要請に応える形で、イ軍球団事務所を訪問。案内された100人は入れそうな会議室で、険しい表情のオーナー始め重役連中が待ち構えていたのであった。
(うわあ、これはまた圧迫面接みたいな雰囲気やの~。現場とオーナーで温度差があるパターンやね。こんな状況でプレゼンなんかしたくないで)
てな感じでダークドン引き不可避となった衛藤であったが、せっかく資料も用意したしという事で、「ワイのやりたい野球2022」の資料をプロジェクターに投影しようと設備係に話したところ――――
「えっ!? いやいや、今日は衛藤監督(まだ引き受けてないが監督呼び)がプレゼンするんじゃなくて、当方がプレゼンさせて頂く側でっせ!?」
「えっ、それはどういう…」
と、困惑する衛藤に向けて、
「衛藤はん! ユーが来てくれれば、イ軍は来年優勝(Bクラスの)、5年後にも優勝(Aクラスの)出来るとワイらは確信しとるんや! 頼むからウチに来てくだーたい!!!!」
てな感じで思い詰めた表情のオーナーが「絶対監督してくれや(一生一緒にいてくれやと韻を踏んでいる)」という命懸けの土下座アフォーマンスで口火を切り、球団上層部による地獄の100人プレゼンがスタート。いつ終わるとも知れないヘルタイムに、「契約書に判子押したら帰れますよ」という悪魔の囁きが投入され、ここにイ軍衛藤監督が誕生したのであった。




