【イ軍編2843】限界突破外角ミット
今季からマ軍に加入し、開幕から一か月で打率4割、9ホーマーの豪打で最強の二番打者として猛威を振るう新外人エロンソ。この日の最弱イ軍戦でも第一打席に二塁打、第二打席に本塁打と、大爆発していたものである。
そして迎えた第三打席で、何かを察知した一塁コーチがエロンソに必死に「避けろ!」サインを連発。
(おン…? ワイが装着しとる真横にも視点があってキャッチャーの構え丸見えチートゴーグルだと、キャッチャーは限界まで外角に構えとるんやが…?)
不審に思いながらも、外角に踏み込み過ぎないように警戒したエロンソであったが、結局、この打席はエロンソの打球にビビった投手がワンバウンドや外角に大きく逸れるボールなどで四球に終わったのであった。
その後、守備に戻ったエロンソは、一塁コーチに猛抗議したものである。
「ユー、こちとらがあまりにも打ち過ぎてインセンティブヤバそうだから、球団の差し金で打てなくする為のフェイク指示出したんか? 内角になんか一球も来んかったで!」
だが、以下のコーチからのアンサーには、さすがのセルフィッシュには定評のあるエロンソも、おったまげつつもサンキュー不可避となったのである。
「イ軍の正捕手綿貫が外角一杯に構えとる時は、一番危ないんや。エロやん今日は二塁打、ホームランと来とったから、ガンギレしたイ軍ベンチがぶつけに来る場面やからね。綿貫の野郎、そういう時は投手に死球のサインを出しときながら、『ワイは知りません』ポーズで、ミットは外角限界に構えるんや。狙ったところにボールが行かない魔制球揃いのイ軍投手陣とはいえ、綿貫のド畜生ムーヴには要注意なんやで(震え声)」




