【風神雷神編①】爆炎の強打者退治
イ軍が誇る爆炎投手陣の中核、1シーズンの被本塁打世界記録保持者である“風神”岸谷と“雷神”渡瀬。
強打のマ軍打線とは特に相性が最悪で、それこそ1試合に5本も6本もホームランを被弾する有様であったが、それに伴って意外な現象が発生。何と、風神雷神のあまりにも飛び過ぎるショボ投球を長打にしまくった結果、マ軍主力打者が微妙に打撃を狂わせてしまい、その後の他チームとの対戦で全く打てなくなってしまうという状況に陥ったのである。
勝って当たり前のイ軍戦の代償として他チームとの試合を落とすようでは、本末転倒もいいところである。そういった全体でのバランスを考慮し、風神雷神が先発する試合で、マ軍はやむなく主力打者を引っ込め、控え選手を先発に並べるという苦肉の策を打たざるを得なかったのであった。
「フッ、奴らそろそろ俺らが本気出す頃だと思ってビビってやがる」
と、どこまでもおめでた過ぎるコメントで取材に来ていたマスゴミを大失笑させる風神雷神。とはいうものの、全く想定外の流れではあったが、彼奴らがマ軍の強打者連中をある意味で封じ込めたのは事実なのであった。
だが、やはり風神雷神は並の炎上投手とは格が違っていた。
マ軍の控えで10何年ホームラン0本の非力なベテランや、バットを超短く持って転がす打法に徹している若手からも、塁上に走者が溜まった強打するしかない場面をお膳立てしてしまった上で、追い風の助けを借りつつきっちり本塁打を打たれる味わい深い投球を披露。結局いつもと変わらない被本塁打ペースで、対戦打者を選ばぬ期待通りの大炎上をキメてみせたのであった…。




