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お笑い野球イディオッツ!  作者: 山岡4郎
おいでよ最弱の闇
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【アームブリスター編⑧】ウイニングショット、プリーズ!!!!

 シーズン序盤、バ軍―イ軍戦。

 バ軍先発は難攻不落の超エース麻野。150km超のストレートに凄まじく曲がる高速スライダーが決め球の投手だが、それに加えて「消える」とまで評されるフォークボールを操る、球界を代表する右腕である。

 通常はストレートとスライダーのコンビネーションのみで打者を打ち取っているのだが、それだけでは抑えられない一流打者限定で、フォークボールを投じるとされていた。

 

 さて、その麻野と相対したイ軍のとんだ一杯食わせ物、「メジャー300発大砲と同姓同名で全く別人」ことアームブリスターであるが、両腕を下にスライドさせる失笑物のボディランゲージでしきりにフォークボールを要求。最初は無視していた麻野であったが、ブリのあまりに執拗な挑発に、遂にフォークを投じてきたものである。

 結局、ブリはフォークで三振に切って取られたのであるが、「ネクスト、ホームラン!!!!」とがなり立てながら、ベンチに戻っていったのであった。

「どうせ打てねえから、ウイニングショットを投げさせてやったぜ。皆、これで奴のフォークをちょっとは見極められただろ。チームで奴を攻略しようぜ!」

 と、打てなかった事を必死に誤魔化す偽りのチームプレイヤーぶりをアピールするブリに、イ軍ナインは感動。今日の飲み屋をどこにするかの相談で忙しく、全然ブリの打席を見ていない事は伏せて、

「よーし、やったるで!!!!」

 と、無責任に盛り上がったのであった。

 だが、ブリの献身も糞も無く、エア自主トレ&手抜きキャンプの効果で春先全く調子の上がらないイ軍打線は、そもそも麻野がフォークボールを使わざるをえない場面をその後一度も演出出来ないのであった…。

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