【イ軍編2805】「〇〇さんお奥さんのお陰です」
「いやあ、今日は本当に調子が悪くて大変だった。勝てたのは綿貫さんと奥さんのお陰ですわ。綿貫さんだけじゃなくて、奥さんもですよ」
と、勝利投手談話を出したのは、最弱イ軍のエース相原。かつて駆け出し時代にハードパワハラを喰らった事で綿貫を蛇蝎の如く嫌悪しており、実力で対等なレベルまでのし上がってからも犬猿の仲で有名だが、珍しく綿貫を持ち上げ、同時にその妻にも言及するのであった。
相原自身が話す通り、試合前の練習では持ち味の精緻なコントロールが乱れに乱れ、ストライクのつもりで投げたボールが外れまくり。苛立ちを隠せない状態だったのであるが――
「綿貫さんの天然フレーミングに助けられましたわ。高めのボール球を捕球した時、先様が疲れててグラブが流れまくりでね。何球かいい具合にストライクになってくれた。それというのも――」
「や、やめろーッ! ワイの取り分が減ってまうッ!!!!」
という綿貫の悲鳴をガン無視し、相原は嬉々として真相を語り切ったのであった。
「奥さんとの離婚訴訟準備が大変で、徹夜が続いとると。その疲労が産んだファインプレーいう事なんですわ。これもいわゆる一つの内助の功だから慰謝料加算出来まっせと、さっき奥さんの弁護士に連絡しときましたわ」




