【城戸編107】代打俺の罠
シーズン終盤、首位打者争いも大詰め、いよいよ予断を許さない状況となっていた。
そんな中で行われたサ軍―イ軍戦、打率低下を警戒して自らスタメンを降りていた「アジアの空砲」ことタイトル乞食のイ軍4番兼なんちゃって代理監督(笑)の城戸であったが、他球場の試合速報でタイトル争いのライバルが安打を放って打率を上げた事を知り、満を持して「代打俺」をコールしたものである。
状況は2死1・2塁、対戦投手は城戸が通算打率6割と打ち込んでいる小田とあって、どう考えてもヒッティングしか有り得ない場面。
だが、タイトルに目が眩みまくって重度のヒット欲しい欲しい病患者になっている城戸は、対戦打率6割の確率を信用できなかった。散々ネクストバッターズサークルで大振りし、バットを限界まで長く持ちながらも、初球、秘奥義であるハーフスイングからのセーフティバントを敢行したのであった――が、サ軍守備陣に完全にバレており、猛ダッシュで捕球した三塁手からの矢のような送球で一塁楽勝アウトとなって万事休す。
「おい! この状況で今のバントは絶対読めねえだろ! サ軍は絶対スパってるぞこの野郎!!!!」
大声で喚きまくり、その辺のサ軍選手に絡みまくる城戸であったが、新宿スタジアムのオーロラビジョンで上映された「代打俺」コールのシーンでは、城戸本人が無意識のうちにバントの構えをしているのが、ご丁寧にスローでリプレイされているのであった。




