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千の打撃フォームを持つ男
シーズン開幕後も、オープン戦の余勢を駆って怒涛の連敗街道をひた走るイ軍。
この泥沼の惨状を何とか打開すべく、急遽米国から「千の打撃フォームを持つ男」と異名を取るブライアントを補強したのであった。
ぶっつけ本番、来日当日のサ軍戦で3番に入ったブライアントは、早くもイ軍ファンの度肝を抜いたものである。
何と、相対するサ軍エース岩島が最も苦手とする打者、マ軍の沢渡と寸分違わぬ振り子打法を披露したのである。あからさまに投げにくそうな岩島を打席から傲然と見下ろし、貫録の四球をもぎ取るブライアント。
その後、岩島を継いだリリーフ連中に対しても、それぞれを打ち込んでいる打者を左右両打席から完コピした打撃フォームで威嚇。苦手意識からか、対戦投手に、まるで魅入られたかのようにど真ん中に投げさせてしまうのであった。
だがしかし、先述の絶好球をことごとく打ち損じまくるブライアント。
程なくして得意なのはフォームの形態模写だけで打撃自体は超苦手という事がバレてしまい風のように解雇。こうしてイ軍の秒速解雇外人列伝にまた一つ伝説が加わったのであった。




