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【イ軍編35】全力走の代償
「やる気無う」
と、言わんばかり、常にスローな動きでファンを苛つかせる事、爆炎の如しのイ軍であるが、ファンのブーイング…いや、度重なる要望に折れる格好で、今シーズンからイニングの合間の全力走をブチ上げたものである。
この取り組みに、
「イ軍のやる気はワシが育てた」
として当初は喝采を送っていたファン達であったが、あまりにも大きすぎる代償を目の当たりにし、
「八百長、駄目ゼッタイ!」
の横断幕を掲げ、すぐさま件の全力走を止めるよう、球団に激しい抗議を展開したのであった。
「バカヤロ、俺らは全力プレーしてるっつーの!」
イ軍の連中がカウンター抗議をカマしたものであるが、確かに嘘はついていなかった。エア自主トレと手抜きキャンプで仕上がったなまくらな体でイニング間全力走を敢行した結果、早々にガス欠状態に陥り、守備に就けばボールに追いつけず、打席に立てばバットを振れずと、いくら全力尽くそうと必死こいても、体が全くついてこなかったのである…。




