【イ軍編33】ゾンビウォーク in イ軍
開幕から数試合、キャンプで巧みに手を抜いたベテラン野手陣の貫録の大不振で、全く点が取れないイ軍打線。痺れを切らした不二村監督は、とんでもないギャンブルオーダーを構成した。何と、全く打てないながらも重要な守備の要である遊撃手草加部をスタメンから外し、二塁の外人アームブリスターを遊撃、三塁の新鋭長森を二塁、正捕手綿貫を一塁、一塁手城戸を三塁に据える、内野大シャッフルの超攻撃型の布陣を敷いたのである。
果たして試合開始直後から、イ軍本拠地新宿スタジアムの観客たちはとんでもない光景を目の当たりにする。不慣れな守備位置で何とか醜態を晒さずに済むよう、城戸、綿貫、アームブリスターの三人が、いかにも調子が悪そうな様子で足を引きずりながら、怪我を偽装してフラフラしているのである。
「おい、こんな怪我人に向けて打ったらファンはどう思うだろうなあ。『○○選手マジ冷酷』つってドン引きするだろうなあ。それでもこっちに打ってくるのかい? まっ、俺はいいんだけど、ファンがどんな反応するかだなあ」
と、言わんばかりで、それぞれ何かを懇願するようなガンを打者に飛ばしまくっているのであった。
このみっともなさ過ぎる様子を見て、イ軍広報の白井が球場設備スタッフに命じて即座にマイケル・ジャクソンの「スリラー(ゾンビが墓場で踊るというアレ)」を流すように要請。無駄にサービス精神が旺盛な城戸とアームブリスターが即興でゾンビライクな動きを披露し、球場は爆笑に包まれたのであった。
そして、この一連の流れにより「やっぱ仕込みだったか」と、相手打者が守備の穴(というか内野全域だが)を容赦なく狙い打ちして万事休す。超攻撃型オーダーも、大差がついた終盤、それまでチャンスで3併殺していた城戸が無駄過ぎるソロホームランを放っただけで、イ軍は打線以上に守備がビッグバンして1-15といつも以上の大敗を喫したのであった…。




