【城戸編90】全部霊のせい
チャンスで凡退しまくる打撃は相変わらずながらも、どうでもいい場面ですら打てなくなってしまったイ軍の4番こと「4億円の不良債権」城戸。
打率2割を切る事態にさすがの城戸も焦ったものか、原因究明に奔走。生活ベースは例年と大きく変わっていないことから、
「悪霊がプレーを妨害してる」
という、どこまでも自分に都合のいい結論に達したのであった。
そこで早速、今年新加入した左翼手兼霊能者の宣保愛甲に、自らを霊視させたものである。
果たして、
「あっ、霊が怒ってる!」
と、宣保愛甲が叫んだのであった。
「やっぱ俺のスランプは全部悪霊のせいだったんだな」
自分の事は全て棚に上げ、無駄に深刻な表情で頷く城戸。
しかしその後、宣保愛甲が自らの体に降臨させた霊の言い分に、関係者は大失笑する他なかったのであった。
「『誰が悪霊だコノヤロ! 俺はお前の先祖で守護霊だっつーの! 今のお前が打てないのな、俺が割と必死こいて守護してやってもカバーし切れねえ程の不摂生と練習不足が原因なんだよ! それをこっちのせいにされたんじゃたまんねーぞオイ! あんまりワケの分からねえ事言ってるとホントに呪っちまうぞゴルァ!』」




