【イ軍編30】偏差値70台のドラフト戦術
系押大学野球部に謎の奇病が流行。ドラフトを控えた主力の四年生が、
「体が動かない。投げられないし打てない」
と訴え、試合を長期欠場、更には
「もう野球辞めますわ」
等と言う者まで出始めているのであった。
優勝候補筆頭と目されていたチームは主力選手の大量欠場で、リーグ戦まさかの最下位転落の憂き目に遭ってしまったのであった。
後日、前述の系押野球部最下位転落を祝って、件の首謀者――塔大監督宮西とイ軍の素人球団社長桜田が祝杯を上げたものである。
「クックック、ドラフト候補にとって、イ軍の『ドラフト指名します』コールほど怖い物は無いですからなあ。系押の連中を『絶対1位指名します』と揺さぶれば、必ず仮病を装ってチームが崩壊すると読んでましたよ」
「フッ、さすが宮西さん。我が国の最高学府と称される大学の野球部監督だけの事はありますな。頭脳的な作戦を見事なまでに決められた」
「桜田さん、我が校が悲願の最下位回避を達成したお礼です。約束通り、我々のチームからは好きなだけ選手を獲って下さい」
「おお! 了解して頂けますか! 球界最高の頭脳を持つ選手を揃えれば、我がイ軍の戦力も大幅にアップするというものです!」
こうしてイ軍は、大学野球の事情を何も分かっていない桜田の大号令で、六大学最弱の塔大からドラフト・ドラフト外で新人を大量獲得。宮西の「塔大史上最も多くの選手をプロに送り込んだ監督」という糞どうでもいい評価と引き換えに、ただでさえ弱いイ軍を更に弱体化させてしまうのであった…。




