【城戸編88】代打俺
今年のキャンプ、イ軍の4番「鬼併(※鬼のように併殺打を打ちまくるの意)」「スコアロスマシーン」こと城戸が、遂に兼任コーチに任命された。
「フッ、俺はまだまだ選手一本でやりたかったんだが、首位打者の打撃を若い連中に仕込んでやってくれと、球団からどうしてもと頼まれてな」
と、本人は嫌々風のコメントながら満面のドヤ顔で語ったものであるが、若手の育成云々なんぞは、当然あくまで表向きの理由である。その実は、チャンスで凡打を繰り返す城戸にコーチの職責を負わせ、少しでも試合から遠ざけようというのが真の目的なのであった(前オーナーがFAで城戸と契約した際に、本人から出ないと言わない限りは常時スタメン縛りという、とんでもなく城戸に有利な内容である事が影響していたのである)。
果たしてシーズン開幕後、確かに城戸は若手の指導による多忙を理由に、度々自らスタメン落ちを申し出たものである――特に、自分が苦手とする左腕先発のタイミングを狙って。
しかし、終盤のチャンスでコーチ職権乱用で「代打俺」をコールしては注文通りの併殺を連発。兼任コーチである事を理由に以前よりさらに練習しなくなった影響で、今まで打てていた投手も打てなくなっているのであった。
このように、要所の「代打俺」で確実にチャンスを潰す事で、常時4番を張っていた頃よりも、より深刻なチームの敗北要因となっているのであった…。




