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【イ軍編⑳】負けるとふてぶてしくなります

　イ軍の連中は、負けた時ほどふてぶてしくなる――。

　他球団選手の誰もが疑問に思う、セリーグ７不思議の一つである。

　もともと試合に臨む態度のなってなさでは球界随一とも言えるイ軍ナインであるが、本拠地である新宿スタジアムで敗戦時に、より一層態度が悪くなるのである。負けた時ほど上を向き、ファンにガンを飛ばしながらベンチから内野席の前を歩き、外野席との間の通路を抜けてクラブハウスへと戻るのであった。

　特に、その日の試合で戦犯となった選手が最も感じ悪くなるという、逆ギレも大概にしろと突っ込まざるを得ない惨状なのであった。

　一体何故なのか。

　他球団からイ軍へ移籍して戦犯になると、その疑問は「スコアロスマシン」ことイ軍最多戦犯回数の４番城戸の親切なアドバイスで氷解するのであった。

「おい！　しっかり上向いてファンの奴らを威嚇しとけよ。ちょっとでも隙を見せるとメガホンやら喰い残しの弁当やら投げつけてくるから、危なくて仕方がねえんだ」