【イ軍編2288】ラブ&ボール
角刈りに似合うオス臭系イケメン最強打者新開に懸想する投手大貫。年俸3憶と3000万が示すように、実力は天地の差があり、大貫は勝手に引け目を感じていたものである。
どうすれば想い人の関心を惹けるのか――。
考えついて結論が、
「キラーになる」
であった。
努力型の新開は、徹底して投手の対策を立てる事で知られており、苦手投手ほど、動画で姿を見られる事になるのである。
「ならば存分に対策して、ワイの勇姿を拝ませてやるッ!」
こうして、大貫は新開キラーになるべく、先様の苦手コース・球種である内角低めへのフォークを磨きまくり。他の打者への注力を犠牲にしただけあって、実際、対戦打率を1割以下に抑える新開キラーになりおおせたのであった。
「そろそろワイを見まくっとる頃やろ…」
と判断した大貫は、満を持してビデオメッセージを仕込むべく、一登板毎に、
「I」「Love」「You」「I」「am」「a」「Fun」
等々の口パクを入れ込み始めたものである。
だが、ベースボールゴッドが仕掛けた運命の悪戯は、過酷であった。
新開所属球団のスタッフがテキトーに動画を編集した結果、
「Fun」「くぅ~(カッケー////)」「You」
の並びになってしまい、「ファッキュー」と煽られたと受け取った新開は激おこ。
ヘイト2000万パワーで嫌われまくり、感情的になってしまい打席で冷静さを欠いた新開に対して、大貫は更にキラーになった――はいいものの、今度は新開所属チームの監督が嫌がり、大貫所属チームに対して新開を引っ込めるようになってしまい、唯一の接点であった試合で会えなくなってしまい無事死亡。野球で勝って恋で爆死するとかいう、リア充ダメゼッタイ系ブーメランボールが完成したのであった。




