【イ軍編2244】絶対にサインを貰っとかなきゃならない2世選手がここにいる
プロ野球ムックあるある、「親子鷹選手特集」の季節が今年もやってきた。ライター3年目、20代でまだ若く年齢が近いという事から、私は「ミスタープロ野球の隠し子(なおみんな知ってる模様)」こと最弱イ軍のサードベースマン、魅沢の取材担当を仰せつかったものである。
魅沢本人にコンタクトを取ったところ、
「久々に行きたい隠れ家的な店がある。取材場所はそこにしてどうぞ」
と店の指定があり、世田谷区某所のそこへ、私は向かったのであった。
そして魅沢と店の前で落ち合い、暖簾をくぐった直後、
「ファ~~~~wwwwwwww ぽっくん待っとったで~ッ! ほれっ、サイン10枚オナシャスオナシャス~ッ!!!!」
と、店主が高速揉み手しながら色紙を取り出し、席に着く前に即席サイン会みたいな感じになってしまったのであった。
「ちょ、おやっさん、いくらワイがスター過ぎるからって、先走り過ぎんよ~、とか言いつつまずはペンを走らせてしまうスターの貫録~ッ」
と、文句垂れつつ満更でもないドヤ顔で、古代ルーン文字のような判読不能なサインを書き連ねていく魅沢。
その様子に呆気に取られた私に、事情の説明が必要と思ったのだろう。魅沢がトイレに立った瞬間、店主が光の速さでこっちに寄って来たのであった。
「バタバタしちゃってサーセンね~ッ! 驚いたでしょ…。ああいう感じでぽっくん(魅沢)のサイン書きたい欲を満たしとかないと、『パッパのサインにワイのサイン書き足してプレミア価値付けたろ!』つって、ミスターのサインに落書きされるんで…。ミスターのサインはもしもの時にメルカリで高額転売出来る資産なんで、そこを防衛する為の、止むを得ない措置なんですわ…(震え声)」




