【イ軍編⑮】どうでもいい時だけ発揮される一貫性
マ軍で長らく「ブルペン横綱」として君臨していた未完の大器こと牛久。150kmオーバーの速球を投げ込む剛腕とノミの心臓が同居する微妙選手で、遂にマ軍に見切られた後は、トライアウトでイ軍に拾われていた。
その牛久、イ軍でチャンスを得て2軍では好投するようになったものの、1軍では投げれば打たれるの、相変わらずの惨状を呈していたのであった。
これに業を煮やしたイ軍1軍投手コーチは、
「だったら酒飲ませて放らせりゃええんや!!!!」
と、ヤケクソ指導を展開。登板前に、
「おう、これスタミナドリンクだから」
と、度の強い酒を牛久にイッキさせたものである。
だがしかし、牛久はその場で大嘔吐し、マウンドに上がる以前の段階でダウンしてしまったのであった。
それを聞きつけた二軍投手コーチが、後日コーチ会議で慌てて申し出たものである。
「いやー、牛久に酒飲ませて投げさすっつーのを、実はこっちでも日常的に取り入れてまして。限界まで飲ませたら2軍で好投するようになったとこだったんですよ。前は酒飲ませてもビビって登板日に球場に来れない程だったんで、ちょっとずつは進歩してんじゃないかと。まあ長い目でみてやりましょうや。1軍で投げられるようになる前に、アル中になって駄目になっちまう可能性もありますがねww」
以上、イ軍にしては極めて珍しく、1軍―2軍間で一貫性のある指導(※ただしアレな内容ではあるが)を行っていたという話であった。




