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炎のモーニングコール
新宿球場横、イ軍直営ホテル。
「起きろゴルァアアアアアアアア!!!!」
朝6時、凄まじい怒号が鳴り響く。
――何事だ!?
一気に目が覚め、私はベッドを飛び出した。
こちとら一介の貧乏リーマン、不意の襲撃を喰らう謂れなど全く無い。
たまに見る中2的な夢かと思ったが、それにしては視界がはっきりしており、完全に現実である。
部屋には誰もいないが、「起きろこの野郎!!!!」と、怒鳴り声は延々続いていた。一体何なのだ…。
音声は、ベッドと一体型の音量調整システムから流れていた(このホテルはラブホテルの居抜きなのであった)。
――そうだ、これはイ軍ホテルが新しいサービスとして始めた、モーニングコールなのだ。どこかで聞いた声――不二村監督の抗議時の声だ――が、私を目覚めさせたというワケである。
確かにサービスを依頼したのはこちらだが、このように叩き起こされて平静でいられる程、私は寛容な人間ではなかった。
野球の試合で不二村の抗議に煽られたイ軍ファンの如く、私は烈火の勢いでフロントに抗議に向かったのであった。