【城戸編79】ザ・バント
今日も今日とてバ軍相手に3回時点で0-11と大敗ベースのイ軍。
イ軍の攻撃、一死一塁となったところで、打席には4番「アジアの遮断機(※打線が切れる的な意味で)」こと城戸である。
大差をつけられているイ軍としてはフリーで打っていくしかない場面だが、三塁コーチとサインのやり取りをした城戸は、「マジ?」という恐ろしくワザとらしい顔芸を披露し、大仰にバントのジェスチャーをかましたものである。
これに対して、三塁コーチの慌てることまいか。
「いやいやバントなワケねえだろう!」
と、必死に「好きに打ってよし」のサインを連打したのであるが、城戸はバントの構えを見せながらドヤ笑顔でサムズアップを返したのであった。
(クックック、これでバントして打率を下げずに済むぜ。指示は三塁コーチが出したって事にしてなあ)
そう、バ軍先発左腕に城戸は相性が極めて悪く、これまで30打数ノーヒットと完全にカモられていたのである。それを踏まえて、打率維持の為の状況無視バントなのであった。
だが、野球の神様からも城戸は要注意人物としてマークされていたのだろう。
一塁走者の諸岡が、城戸と三塁コーチのやり取りに、
「は? で、どっちなの?」
と、大混乱。
常日頃、盗塁を自重して一二塁間のヒットゾーンを空けて置かないとうるさい城戸だけに、取りあえず一塁に張り付いていたものである。
結果、スタートが遅くなり、余裕の二塁封殺。晴れてバント失敗となり、城戸の打率はしっかりと低下したのであった。




