298/5132
【城戸編78】二軍よ、これが一軍の打撃だ
春先、絶不調に喘ぐ「アジアの併殺神」ことイ軍の4番城戸が珍しく特打を敢行。
それをどこから聞きつけたか、二軍監督以下選手たちが、城戸の練習補助を申し出たものである。野手を守備位置に就かせた上に一塁走者まで配備し、至れり尽くせりのシート打撃環境を準備したのであった。
このVIP待遇に気を良くした城戸は右へ左へ広角に打ち分け、
「お前ら! これが一軍の打撃だ!」
と、満面のドヤ顔で二軍の若手を煽りまくったのであった。
練習終了後、二軍の若手たちは皆一様に充実した表情で振り返ったものである。
「さすがに城戸さんはすげえな」
「ああ、内野全域に絶妙なゴロを転がしてくるもんな」
「まさにあれが一軍の併殺打だな」
二軍監督はその様子を眺めながら、「予想通り最高の併殺練習がこなせたわ」と、満足気に頷くのであった。




