【城戸編76】アンチ城戸、他チーム選手を救う
新宿スタジアムでのイ軍―マ軍戦。
「チャンスクラッシャー」ことイ軍4番城戸の放った大飛球は、ギリギリスタンドインの嫌らしい&胡散臭い本塁打、通称「城戸ムラン」になるかと思われたが、ランナー1、2塁のチャンスの場面だった事が災いしたか、フェンス手前で大失速。例によって塁上のランナーが釘付けとなってしまったのであった。
マ軍のセンター、宇和は嫌らがらせを兼ねたファンサービスで、城戸の凡飛球を最も過激なイ軍ファンが陣取るライトスタンドに投げ入れてやったものである――――だが、
「やべえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
瞬時に顔面ブルージェイズ。
そう、宇和はアウトカウントを間違えており、まだ2アウトだったのである。城戸が凡退したからもう大丈夫という先入観に捉われてしまったのだ。
「おい! ボール返してくれ!!!!」
12球団一天邪鬼である事に定評のあるイ軍ファンである。1000%駄目だろうとは思いながらも、宇和は叫ばずにはいられなかったものである。
と、
「要らねえよこんなもん!!!!」
城戸憎しで団結しているイ軍ファンは、怒りのはたき返し。スタンドインが阻止された為、ランナーに進塁権が与えられず(入っていたら2進塁の場面であった)、宇和は思わぬ形で城戸に救われた格好となったのであった。




