【イ軍編⑪】イ軍のドラフト1位より、
2013年ドラフト会議。
ここ数年、一番人気の選手を指名して抽選を当てては入団を拒否され、結果的に浪人生活送りにして「おいコラ空気読めや!」と、球界から総スカンを喰らっていたイ軍であったが、今年は全くの無名選手を指名。誰も聞いたことが無い名前に、ドラフト会場の球界関係者の顔に、一様に?マークが浮かんだものである――――バ軍関係者を除いて。
唖然とするバ軍席を眺めて、ドヤ顔でハイタッチをするイ軍首脳陣。
そう、イ軍はバ軍の隠し球、育成ドラフトで一位指名予定だった選手を、何と本ドラフト1位で指名してしまったのである。まともな有望選手を指名しても、劣悪な環境から入団を拒否られる可能性が高い為、「球界の盟主」ことバ軍に対する嫌がらせも兼ねて、ヤケクソ指名に走ったのであった。
とはいうものの、件の選手はバ軍が見込んだだけあって、イ軍の五流スカウトが連れてくる選手よりも、育成レベルながらも大化けする可能性が高いと思われた。
しかし、である。
事態は予想もしない方向へ展開。何とこの選手、イ軍への入団を拒否したのである。その涙ながらの会見で、今後、永久に語り継がれるであろう、伝説の名言が誕生したのであった。
「イ軍のドラフト1位より、バ軍の育成ドラフト1位の方が価値がある」




