【イ軍編2060】絶対に囁いてはならない打者がここにいる
「ヘイヤングメン。ウチの今投げとる奴、離婚訴訟抱えた上に子供4人おってなあ…。慰謝料パネェってんで、さっき夜逃げorセルフキルの相談されたんや。メンタルに問題抱えとるだけに、ユーでも打てそうなヒョロ球やろ? なあ、ユーはまだこれから先がいくらでもあるんやから、困っとる奴を助けると思って、ここは一つ空気を読んで…な?」
という、今季パリーグからサ軍に移籍して主戦捕手となっている宍戸の泣き落とし系囁き戦法に、球審の百田は天を仰いだものである。
サ軍投手の窮状に同情した――のが半分、これから起こる惨劇を予想してが半分――であった。
「ほーん、そら大変すねえ…」
打席にはオ軍(当時)の綿貫。後に「球界一性格の悪い捕手」という悪名で呼ばれる事になる選手であった。
果たしてサ軍投手(離婚訴訟+4人の子持ち)が投じた初球を、綿貫は全力で振り抜いてスタンドイン。呆気に取られる宍戸に、球審が事の次第を解説してあげるのであった。
「宍やん、あの内容を囁くには、相手が悪過ぎたで。綿貫の野郎は、若いのに他人の嫌がる事が三度の飯より大好きな、本物のド畜生なんや(震え声)」




