【チョ・マテオ編②】顔芸投法
シーズン早々に投手陣が壊滅した事を受け、イ軍に入団テストを受けにきた北朝鮮系ベネズエラ人投手、チョ・マテヨ。
データ上では、130km前半の直球と変化しない多彩な変化球が持ち味の箸にも棒にも掛からない投手であったが、本人は自信満々、
「私の幻惑投法を打てるバッターはいない」
とまで言い切ったものである。
果たして、監督、コーチが見守る中で投球練習を開始したのであるが、そのとんでもないスタイルに、皆一様にどよめいた。
いかにも「直球いくぞゴルァ!」という猛り狂った表情と力感のあるフォームで超スローボールを投げたかと思えば、「やる気無う」と言わんばかりの無表情&無造作にしれっと速球を投げ込んでくるのである。
クセ者には間違いなさそうだが、今までの糞外人と比べれば、これはひょっとすればひょっとするんじゃないか?
どうせ投手陣が壊滅しており、頭数は必要な状況ではある。イ軍首脳陣は、それこそ藁をも掴む思いで、この顔芸投手チョ・マテヨと速攻契約したのであった。
しかし、である。
チョの初登板試合、初回こそ驚愕の顔芸投法で面喰らった相手チームであったが、表情の変化はチョ自身でコントロール出来ず、単なる癖である事が早々に判明。
表情で配球が丸分かりの為、結局は2回8失点で滅多打ちに遭い、イ軍投手陣崩壊に徒花を添える格好となったのであった。




