【イ軍編2004】幸福のブラフマン
「都内の無名公立校に、全然目立たないが将来200勝出来そうな逸材がいるらしい――」
そんな怪情報が、球界を賑わせたものである。
他メンが弱すぎて都大会は初戦敗退常連ながらも、1年生エースの北崎だけは、多くの球団のスカウトが見に来ていたのであった。
だが、傍から見ていて速い球を投げるでもなく、凄い変化をする球を投げるでもない、「プロの目でしか分からない」、謎が深まる逸材っぷりなのである。
そんな、他球団に大人気の逸材を放っておくわけもないのが、「球界の掃き溜め」こと最弱イ軍。
「1番人気の大釜桐陰の小暮は指名拒否不可避やから、いっちょ北崎にいったろやないかい!!!!」
と、人気最優先でロクに調べもせずにドラフト指名1位を公言。
そして実際、1位指名し、単独で獲得出来てしまったものである。これには他11球団が、
「よしゃ!!!!!!!!」
と、大歓声を上げたものである。
というのも、北崎は逸材でも何でもない、本当にただのフツーの高校生。これというのも、球界の宝である小暮をイ軍からプロテクトし、あわよくば自分とこで獲りたいからという、11球団が共同戦線を張った結果なのである。
だが、ヤラセスカウトに注目された効果で真面目に頑張って意外にそれなりになっていた北崎は、イ軍ではローテ投手(年間3勝ぐらい)に定着。ドラフト1位の契約金と年俸を元手に投資し、幸せな小金持ちになったという。めでたしめでたし




