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【神崎編】歩く違法投球 誕生物語 3/4
そして翌シーズン、神崎は13敗しながらも7勝を挙げて一年ローテーションを守り切り、いよいよ先発投手として一本立ち。そろそろ身を固める時かと思い、浜井へのサプライズプロポーズを検討し始めていたタイミングで、事件は起こった。
例によって、名古屋遠征で浜井の家にお泊りする予定だったのが、その時、浜井宅は何故かかなりのグレードアップ。単身者用物件から、戸建ての広めな一軒家に引っ越していたのであった。
「叔父さんが海外出張で、その間の留守番を頼まれちゃって~」
と、にこやかに告げる浜井を言い分を100%信じた神崎であったが、その晩、誰かが玄関に帰ってきた気配が――したが早いか、
「ほら早く! 庭の裏口から出られるから、靴はその辺の奴履いて! ユーのは宅配便で送ってあげるから!」
と、妙に手慣れた様子で、神崎は浜井宅から脱出させられてしまったのであった。




