【城戸編68】口撃
セリーグ首位打者争いもいよいよ佳境、イ軍城戸とマ軍瀬野の一騎打ちの様相を呈していた。
海千山千の城戸と比較して、瀬野は高卒3年目のフレッシュマン。経験の差もさる事ながら、精神面での強さに格段の違いがあると見られていた。
そこで、どうしても首位打者(正確にはタイトル獲得のインセンティブ)を獲りたい城戸は、マスゴミを経由して瀬野にプレッシャーを与える口撃戦法を展開。各種マスゴミを招集して会見を開き、
「瀬野君は初めてのタイトル争いだろ? ここからのペース配分が分からずに大変だろう。それに、今の打撃フォームは内角を意識し過ぎて、外角に決定的な弱点がある。つーか優しそうな顔してるし、肝心なところで脆さが出そうで心配だね」
等々、一見先輩風を吹かせながらもディスりまくっており、瀬野を確実に追い落としにかかっているのであった。
だがしかし。
城戸の会見は
「ま~た城戸がワケの分からない事言ってる」
と、マスゴミ連中に全く相手にされず、記事化されなかったのである。口撃作戦は未遂に終わり、動揺した城戸は
「ちょ、待てよ!」
と、キムタクのような台詞を連発しながら不振に陥り、首位打者争いに敗れ去ったのであった…。




