【城戸編67】里予王求のネ申様に哀された男
シーズン終盤、首位打者争いもいよいよ大詰め。
あらゆる汚い手段を使ってタイトル獲得を目指すイ軍の城戸の戦いも、最終局面を迎えつつあった。チームメートのバット商人…いや、新外人リバースから必殺のイリーガル(違法)バットを購入し、万全の態勢で試合に臨んだものである。
果たして1回裏、4番打者で出場しときながら2死2塁の場面で掟破りのセーフティバントを敢行。さすがに「日本一セーフティバントの巧い4番」の異名を取るだけあって、無駄に(4番がバントしてどうするという話である)絶妙な打球が投手前に転がった。
だが、投手はフィールディングに定評のあるド軍エース近江である。すぐさまボールをキャッチし、送球――と思いきや、近江の顔が驚きで見開かれる。ボールが滑ったのだ。
そう、リバースの細工により一見分からなかったのであるが、バットに何がしかの異物が塗りたくられており、それが少量ではあるがバントの際に付着していたのであった(ちなみにバットはイ軍バットボーイが証拠隠滅の為に速攻で回収していた)。
しかし、である。
自分に悪酔いする事が趣味の感傷的なポエマー連中が精神的0721に用いる「野球の神様」とやらは、本当にいるのかも知れない。
異物で手が滑った近江の送球が城戸の頭部を直撃。そのまま病院送りとなり、残り試合も全て欠場→首位打者オジャンと、絵に描いたような天誅が下されたのであった。




