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【イ軍編⑥】ドラフト8位新人 単独入団会見
イ軍のドラフト8位新人、高卒野手の元井。
彼の入団発表は、まさかの単独記者会見となり、本人は大いに驚いたものである。
甲子園出場も無く高校通算4本塁打と乏しい実績で、プロから声が掛かっただけでも衝撃だったのに、この上まさかマスゴミの注目を一身に浴びようとは…。プロでやっていく自信が全く無かった元井であったが、球団の下にも置かぬ扱いに、「もしかして気付いてないのは俺だけで、実は見る人が見ればスゲー選手なのかも、俺」と、思い始めていたのであった。
「うーむ、今年のイ軍新人の子、早くも何か勘違いしてる表情になってるな」
「仕方が無いですよ。この状況では自分だけ特別扱いされてるように錯覚してしまうでしょうし」
「この様子じゃ、ドラフトされた1位から7位まで全員がイ軍の評判の悪さにビビって入団拒否した件、知らねえんだろうなー」
「一人しか入団しないからこその集中インタビューなんですけどね」
こうして、イ軍に入団してしまった命知らずな田舎者高校生は、マスゴミを介して見せ物として消費されていくのであった…。




