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勝利のサインプレー
イ軍の若手バッテリー、矢追―赤田がまさかの完封劇を演出。
特に、入団時からリードに問題ありと酷評されてきた捕手赤田の、相手の裏をかき続けた配球が注目の的になったものである。
コーチ村木の指導がようやく実を結んだのか、はたまた正捕手綿貫の薫陶で開花したのか、あるいは監督不二村の檄で覚醒したのか…。
村木、綿貫、不二村間で、
「赤田は俺が育てた」
抗争が勃発したものであるが、本人はマスゴミの取材に対して、実にあっけらかんとネタばらしをしてみせたのであった。
「いやー、リードも何も、矢追がコンタクト忘れちゃって、こっちのサイン見えないっつーんですよ。しょーがないから、奴からサイン送らせて捕ってました。ぶはは」
この馬鹿正直する回答を聞いて、手柄争いから一転、村木、綿貫、不二村間で、
「赤田がこうなったのはお前のせいだ」
抗争が、光の速さで開始されたのであった…。




