痛恨の凱旋メジャー
メジャーリーグ、ドジャースに所属する日本人投手松木。
今年FAとなり、ドジャースが誇る15勝カルテットの一角を占める彼に、かつての所属球団であるイ軍が、身の程知らずにも単年3億でオファーを出したものである。
「松木君は日本で終わりたいと言っているし、彼の古巣である我がイ軍はいつでも彼を歓迎する」
と、来季、ドジャースとの年俸15億の契約が確実視されているメジャーリーガーに対して、「どうせ来ねえんだろ」という態度丸出しのテキトーオファー。「補強、頑張ってます(棒)」というポーズを見せたいだけの、実質200%空オファーなのであった。
だが、事態は意外過ぎる展開を見せる。
何と松木がイ軍のオファーを飲み、電撃的に契約が成立したのである。
これには当のイ軍フロント始め、球界に大きな衝撃が走った。
既に38歳とはいえ、メジャーで4年連続10勝以上の松木の実力は本物である。そんな選手が現役生活の最後の場としてイ軍を選ぶとは…。
「いやー、何事も言ってみるもんだなあ」
狂喜するイ軍フロントであったが、契約が完了した後、事態は暗転する。実のところ、松木がドジャースを選ばなかったのではなく、ドジャースが松木にNOを出したのだ。松木はメディカルチェックをパス出来ず、世界一緩い入団基準であるところのイ軍からのオファーに喰い付いたというのが事の真相なのであった。
こうして三億の不良債権を抱えたイ軍はもともとの補強計画に廻す金が欠乏し(もともとロクでもない計画ではあったのだが)、今シーズンも戦う前から負けまくっているような惨状だったのである…。




