【イ軍編1680】爆ぜる投手陣、浮かれ新外人を全力走さす
最弱球団のエース、相原の先発登板試合で事件は起こった。
対戦サ軍の一番に座るパフォーマー系新外人のプラッシュが、風に助けられたギリギリホームランをレフトスタンドへ放り込んだ――――のであるが、リーグ屈指の好投手から打ったにも関わらず、いつもの派手なパフォーマンスをせず。ベース一周を淡々とした全力走で廻ったのである。
「うるせーDQNを黙らすワイらの貫禄マジパネェ」
「怪しいお薬でもガンギマってんじゃないの~? オォン!?」
等とイ軍ナインの間で憶測が飛び交ったのであるが、プラッシュの対応は、八百長疑惑不可避の止むを得ない仕儀だったのである。以下、サ軍ベンチでの感想戦――。
「プラよ、よく我慢したな。あれでええんや。隙を見せると大変な事になる」
「先週、相原からホームラン打って喜びの舞を踊りながらベース一周したマ軍の富田が、満面の笑みでハイタッチ態勢に入った城戸や魅沢に思わず反応してしまい、『絶対スパイ八百長やってる』と、大問題になりましたからね」
「奴ら、相原への超嫉妬と『相原が打たれればその分年俸も枠が増えて自分の取り分が取れる』とか思ってるから…。そんなのに巻き込まれたらたまらんで」




