【イ軍編1631】伝説のスパイを遂に御用へと追い込んだ最弱戦士
球種伝えて40年。各球団を渡り歩き、優勝へ導いたとして恐れられた伝説の球種伝達士、通称スパイビー。係りの者がスパった球種を、アベックのフリして、イチャつき体位の種類でバックネット裏から伝達する古典的なやり方ながら、動きがあまりに自然で一度もバレた事がない実力派である。
しかし、最後の働き場として選んだ最弱イ軍で、ミスタープロ野球の隠し子である魅沢専属となって数か月。ある日の試合中に、長きに渡るスパイ生活が露見し、初めて御用となってしまったのであった。
「さすがのスパイビーも寄る年波には勝てんかったようやの~」
という世間の感想に、本人は全力で反論。あくまでも技術面には問題無かったと、プロの誇りを語るのであった。
「確かに歳は取ったが、それがバレた原因やない。球種伝達スキルは最後まで日本一の水準を保っとった。しかし、魅沢専属ゆうのがアカンかったんね。何せあの野郎、こっちが必死に球種を伝えとんのに、バッティングが下手過ぎて全然ヒットに繋がらん。スパイがバレたあの日、100打席目でやっと当たり損ないのポテンヒットが出たんで、それまでの色々な感情が爆発してもうてな。狂喜乱舞し過ぎたのがきっかけで、お縄になっちまったんやわ」




