【城戸編50】ファン感暴動回避
「おう、今年のファン感(ファン感謝祭)、俺は出ねえぜ」
申し訳なさそうな口調ながらも満面のドヤ顔で、「4億円のチャンスブレイカー」ことイ軍の4番城戸が宣言したものである。
「バ軍とカ軍から声を掛けられてんだ。移籍の可能性がある人間が出て行けるワケねえだろう」
そう、打力不足に悩む数球団が、左の強打者である城戸獲得を検討しているという報道が出ているのだ。各球団、エース級投手、あるいは期待の若手を複数人パッケージした、大型トレードになるのではないかと、球界では実しやかにかに語られているのであった。
「ま、そういう事だ。それに、もう俺の時代でもねえよ。こういう場は若い奴らに譲るさ」
マスゴミ連中に心にも無い事を得意げに並べ立て、城戸は球団にファン感欠席を申し入れたのであった。
一方その頃、イ軍「パネマジ広報部長」白井が何者かと電話していた。
「いやー、助かった。お前のとこでトバしてくれたトレード情報な、城戸の野郎、まんまと信じてくれたよ。やっぱ困った時の新スポ頼みだよなあ。こっちの読み通り、奴がファン感出ないって言ってきてくれたよ。毎年大ブーイングで警備が大変なのに、今年は最下位脱出がかかった試合で5打数5併殺だもんなあ。城戸が出ると怒り狂ったファンが何するか分からねえから、今回はホント助かったわ」




