アウェーの洗礼
「NPB最弱のイ軍になら120%勝てる」
と、言ったとか言わないとか、あるいは他のチームと間違えでもしたか、韓国プロ野球のビ軍から招待されて韓国遠征に向かったイ軍。
しかし、到着直後、早くもアウェーの洗礼を浴びたものである。
練習用のグラウンドは他のイベントで使われており、ボール等の用具も全く用意されておらず、どうにもならない状況であった。
ホーム球場での散々な扱い(自軍ファンから大ブーイングを喰らう)で、ある程度耐性のあるイ軍ナインであったが、また違った角度からのアウェー感に驚きを禁じ得なかったのである…。
と、思いきや、
「おう、城戸だ。予定通りグラウンド埋めてもらってありがとな。あとボールも無いと言い切ってくれて助かったぜ。俺の読み通り練習中止になったから、今から観光がてら呑んでくるわ。あとでチョニーも来いよ。全く、持つべきものは元チームメイトだよなあ」
かつてイ軍に所属していた韓国人選手――現在韓国プロ野球の職員――に電話する城戸の姿があった。
イ軍ナインもこの時ばかりは城戸を讃え、外国まで来て野球なんぞやってられるかと、真昼間から歓楽街に繰り出したのであった…。




