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見てれば分かった話
12球団合同トライアウト。
所属球団をクビになり、最後のチャンスに懸ける選手たちが集結した。
その中には、かつてマ軍で一世を風靡した強打者新見の姿があった。ここ数年は故障禍でまともに出場すら出来ていなかったのだが、ようやく完治したものか快打を連発。同じくトライアウトに参加した投手相手に、風邪でマスクをしながらも4打数3ホーマー1二塁打と、完全復調を印象付けたのであった。
この活躍に、イ軍フロントが素早く動く。
他球団との競合を回避するべく、1年5000万円の好待遇で早手回しに獲得を決定。その場で仮契約にまで至ったのであった。
「おう西崎、助かったぜ。やっぱ持つべきものは使える後輩だな」
「先輩、バイト代100万、ちゃんと今日中に振り込んどいてくださいよ。しかし所属球団の選手が目の前でプレーしてるのに全く気付かないとは…。奴ら自分とこの試合、全然見てねえな」
こうして自軍選手西崎の替え玉受験にまんまと乗せられたイ軍は、またしても補強費をドブ捨てする格好と相成ったのであった…。




