217/5134
【相原編】イ軍で投げて勝つという事
打てない捕れない走れないと足を引っ張りまくり、逆三拍子揃ったイ軍野手陣とプレーしながらも、シーズン二桁勝利を挙げられる程の実力者であるエース相原(それでも10~11勝ではあったが)。
彼の激しいトレーニングや新しい技術への貪欲さは広く知られていたが、それ以上に、本拠地新宿スタジアムにある個室ビデオ屋のような狭苦しい映像ルームに入り浸り、延々研究を重ねている事で有名であった。
今日も今日とて、イ軍にトレードで加入した外野手籾山のビデオを入手し、あらゆる角度から分析を試みたものである。
しかしなぜ、自軍選手のビデオなのか?
それというのも、イ軍所属の野手たるや壊滅的な守備力の持ち主が大半であり、守備の穴を把握しておき「そこに打たせない」配球が必須となるからである。そこまでやるかという話ではあったが、まず、味方と戦わねば試合には絶対に勝てない。それがイ軍で投げて勝つという事なのであった…。




