【イ軍ファン編⑥】フラグブーメラン
マ軍の左翼手洞木がFA権を取得。
今シーズン、打率3割1分、本塁打28本、打点80とブレイクした事もあり、ストーブリーグの目玉となっていた。
外野に強打者を欠くイ軍も獲得戦線に乗り出したのであるが、この洞木、勝負が決まってからの長打が多い等、成績の割にチームへの貢献度がイマイチ。更に、昨年までの成績もパッとせず来年以降元に戻る可能性も無くはないと、イ軍の素人首脳陣が思わず獲得していまいそうな濃厚なFA地雷臭が漂ってもいた。
幸い「球界の盟主」バ軍も獲得意思を表明しており、すんなりイ軍という話ではないのだが、4番城戸に続く大型不良債権獲得の可能性に、イ軍ファンは恐怖した。
そこで、
「洞木を何としてもバ軍に入団させよう!」
として、イ軍ファンがバ軍ファンになりすまして大々的にやらせラブコールを展開。
「洞木はんが来てくれたら10連覇や!」
「洞木には15勝投手分の価値がある」
「洞木が来たらファンの子供の難病が治る気がする」
等々、凄まじい煽りを展開したのであった。
当初はそれらを素直に喜んでいた洞木であったが、バ軍ではただでさえプレッシャーが強い上に、これだけ期待されて仮に駄目だったら…と、何やら怪しい風向きに。
更に、マネーゲームの様相を呈していた年俸条件提示が、バ軍とイ軍が3年4.5億と所属球団の2年2億と大きな開きがあった事が決定打となった。
結局、消去法的な流れで、晴れて逆転イ軍加入と相成ったのであった。
翌シーズンからの城戸と組んだ3,4番コンビによる歴史的チャンスブレイカー振りは、イ軍史上でも類を見ない程の凄まじさとなったのだが、それはまた別の話である…。




