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お笑い野球イディオッツ!  作者: 山岡4郎
おいでよ最弱の闇
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イ軍新人研修会

 イ軍新人研修会。

 プロとしての心構えを新人に叩き込む目的のこの会も、開始一時間頃までは緊張感が漲っていた。

 しかし、その後は講師の質の低さ(話が長い、要領を得ない)もあり、徐々にだらけた雰囲気が蔓延し始めていったのだった。

 そんな中、新人たちの度肝を抜き、思わず話を聞かざるを得ない強烈なOBが現れた。かつてイ軍の前身チームで強打者として鳴らした、木嶋である。

 現役時代から、借金、暴力沙汰、スピード違反、薬物中毒等のトラブルを繰り返し、打撃タイトルを何度か取りながらも29歳の若さで引退。その後も警察沙汰を何度も引き起こし、ついには収監されるに至った、悪い意味で伝説の元選手である。

 自分はいかにして誘惑に負けたか、淡々と語る壮絶な内容以上に、木嶋の外観のインパクトが凄まじかった。まだ40代半ばの筈なのだが、総白髪、縮んだ背、ボロボロの皮膚と、どう見ても70代にしか見えないのである。

 人生を棒に振った元野球選手の末路を見せつけられ、戦慄する新人たち。とんでもなく説得力のある実例を見せつけられて、彼らも「道を踏み外したらヤバい」と、思わず意識を高めざるを得ないのであった。




「どもーお疲れ様ですー」

「どーもー」

「あんな感じで良かったんすかねえ。新人さんたち、無茶苦茶ビビってましたけど…」

「いや、あれぐらいやってもらわないと、彼ら分かんないですから。誘惑の多い業界なんで。今のも、やり過ぎって事はないですよ」

「しかしホント木嶋は今何やってんですかね。逮捕されてからは、全然見かけなくなっちゃいましたけど」

「死んだって噂もありますけどね。離婚した元嫁さんとも全く連絡取ってないみたいですし、彼がどうなったか、誰も知らないんですよ」

「でも、本人に了解取んないでこんな事やっちゃっていいんですかね(笑)」

「まあ我々も散々迷惑掛けられたんで、このぐらいやらせてもらっても、バチは当たらんですよ(笑)。木嶋が現役の時には、ホント手を焼かされましたからね…」

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