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新スポ魂
東京新宿スポーツ会議室。
今年のイ軍新人たちをどのように特集するか、番記者尾藤と編集長で打ち合わせが行われていた。
「今年の新人ですが、例年以上にロクなのがいません。例えば1位の鍛治田なんかは、ハズレのハズレのハズレの1位で野球の実力は中途半端。その上喋りが全く駄目で、指名当日の会見でも一言も話さずに、途中まで大学の同級生が間違われていた程の存在感の無さでした。ですので、多少なりともキャラが立ってる下位指名の高校生を煽って、適当にお茶を濁すしか――」
「おい尾藤、お前何年イ軍番やってんだ。喋りが駄目? キャラが薄い? そういう奴をネタにする時こそ記者の腕の見せ所なんだよ! 本人が喋らなきゃ紙の上で喋らせりゃいいだけだろ! 代弁してやるんだよ! ある事ない事! 事件は現場で起こってるんじゃねえ、会議室で起こしてやるんだ! つー事で今年の新人特集は鍛治田で行くぞ、新スポ魂、魅せてやれや!!!!」




