【城戸編45】若手の手本
東京新宿イディオッツ、春季キャンプ。
初日の全体練習終了後、若手選手たちが集められ、簡単なミーティングが行われた。
監督の不二村曰く、
「いいかお前ら、今年は城戸を見習って精神面を強化しろ」
と、来たものである。
城戸といえば長期契約で4番の座が安泰なのをよい事に(城戸本人の同意が無くては4番を外せないというとんでもない密約込み)、異常に勝負弱い打撃と自分の数字しか考えないプレーに終始する、球界を代表する不良債権である。当然ファン受けも最悪な城戸を見習えとは、不二村監督、勝てない事を苦にして遂に今年は自発的なお笑い采配をカマすつもりなのか…。
また城戸が絶妙なタイミングでマスゴミ連中に、
「今年は若手をもっとヤジってやってくれ。そうする事で奴らも精神面が鍛えられるからなあ」
等と、ドヤ顔で特大ブーメラントークを展開している。
このように、いいところなど何一つない城戸の、一体どこを見習えというのか…。一様に困惑顔になる若手に、不二村監督は次のように話のオチをつけたのであった。
「あの野郎、自分が一番ヤジられてる事に全く気付いてねえ。ああいう図太いところだけはお前らも参考にしてくれや」




