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若手思い()
イ軍では珍しく、まともな意味で「10年に1人の逸材」と呼ばれながらも、いまいち開花しきれない未完の大砲岡安。秋のポセイドンリーグでも中途半端なプレーを連発し、遂には監督不二村から「もうお前は秋季キャンプに連れていかねえ!」と、突き放されてしまったのであった。
この事態に、ベテラン連中が立ち上がった。
もともと財政難の折、秋季キャンプの枠が限られているのは分かるが、チーム最高の有望株を切り捨てるのはいかがなものか――。
そう言って、続々と監督に岡安の秋季キャンプ参加を直訴したのであった。
さて、一見美談風の話ではあるが、そこは球界一どうしようもない連中と悪名高いイ軍のベテラン勢である。
「監督、岡安を秋季キャンプに連れてってやってくださいよ。私の代わりに」
「いやいや、俺の枠を譲るよ」
と、単に自分が秋季キャンプに行きたくないだけの話なのであった…。




