イ軍「馬鹿の壁」
イ軍GMに就任した柳澤。
彼女の目指すチームは、MLBのボストン・レッドソックス。それも、正統派の向こうを行くカウンターカルチャーとして輝いていた、2004年の「イディオッツ・レッドソックス」であった。
そこで、実力がありながらも様々な理由で不遇を囲っている選手たちを、集中的に入団させた。また、右打者が多く、長打力に欠けるというチームの弱点を補うため、左翼観客席を大幅に改造して、5メートル程のウォールを設立。レッドソックスで言うところの「グリーンモンスター」を丸パクリした構造に、外野スタンドを改修してしまったのであった。
までは良かった。
しかし莫大な費用を掛けた球場改修は、悲惨な結末を見た。
自チーム以上に、相手チームの長打が激増。もともと弱体だった投手陣は、以前ならアウトに出来ていた打球が二塁打になってしまい、壊滅的なダメージを負ってしまったのであった。
柳澤は、件の巨大フェンスをグリーンモンスターに因んで「レッドモンスター」と名付けていたのだが、その悲惨な効用を目の当たりにしたファンたちは、怒りを込めて「馬鹿の壁」という蔑称を定着させたのであった…。




