禁断打撃指導
守備は平均よりちょっと下手レベルである程度こなせるのだが、打撃が壊滅的でどうにもならないイ軍後藤。
それでも故障者続出のチーム事情で、内野を転々としながら9番打者としてスタメン出場しているのだが、凄まじいペースで三振を量産し、たまにボールにバットが当たったかと思いきや注文通りの併殺打。打率9分5厘と、投手並みの低打率をウロウロしていたのであった。
その間、少しでも後藤の打撃をマシにしようと打撃コーチ館野もあらゆる指導を試みたのだが、もともと打てないものが付け焼刃でどうなるものでもなく、何の成果も上がらない。
そして、自分にもファンやフロントからの大ブーイングが及ぶにあたって、館野は遂に禁断の指導をカマしたのである。
「おい後藤、高めと低めと右と左とど真ん中の直球とスライダーとカーブとシュートとチェンジアップとフォークを捨てろ」
「は? それじゃ打つとこないんすけど。冗談も休み休みに言ってくださいよ」
「だからもうバットを振るなっつってんだよ! 相手がフォアボール出してくれるの祈っとけ! つーか当たりに行けと言わないだけマシと思えコノヤロ!」




