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【城戸編42】体の張りどころ
10月に入り、いよいよシーズンも残すところ後僅か。
そんな折のイ軍―マ軍22回戦は、両チームの先発が若手のノーコン投手だったが為に与死球が続いてしまい、一触即発の不穏な空気になりつつあった。
そして5回裏、この日2ホーマーを放っていたイ軍長森の頭部付近を速球が通過するに至り、遂に両チーム爆発。普段は「金持ち喧嘩せずだっつーの」と、絶対にベンチから出てこない城戸もベンチから猛然と飛び出すなど、大乱闘が勃発したのであった。
結局、大暴れしたイ軍不二村監督と長森、マ軍先発の岩城が退場。更に乱闘の矢面に立った城戸がフルボッコにされて病院送りというところで収束したのである。
しかし、身を挺してチームの盾となった城戸に対し、イ軍ファンは容赦なくブーイングを浴びせた。
「そこまでして(打率)3割を維持したいのかコノヤロ!」
何故なら、新宿スタジアムのオーロラビジョンには、城戸が巧みに修羅場を回避し、自分で倒れ込んではユニフォームを汚すなどして、自作自演のヤラセフルボッコをかましていたのが白日の下に晒されていたからであった。




