新スポ流写真術
「おい! 誰だよこんな中途半端な写真を載せたのは」
新スポ編集部に、編集長である胆沢の声が響き上がった。
その手には本日の新スポ――城戸が無様に三振を喫した大判の写真が掲載され、イ軍が今季4度目の10連敗を記録した記事が一面になっている――が、握られていた。
「もっと劇的な写真じゃなきゃダメだ! 何? 写真がこれしかなかった? バカ野郎! だからってそのまましょーもない写真を載せてどうすんだよ! 無きゃ作るんだよ! この三振シーンもなあ、バットすっぽ抜けさせるとかヘルメットがフリスビーみてーに飛んだりとか、色々出来るだろうが! 城戸の目玉が飛び出ててもいいよこれ変化球に超ビビってるし。まあそれはいいとして、今後はこんな手抜き写真は絶対に許さねえからな! 何の為にパソコンにフォトショップが入ってると思ってんだ全く…。は? 偽装? ちげーよバーロー! 紙面には一言も“写真を掲載”とは書いてねえんだ! あくまでも“作品”、“作品”を載せてんだ。それを忘れるんじゃねえぞ」
共○通信の写真偽装が話題になった直後の時期であるが、新スポには何の影響も無く、平常通り掲載記事に“作品”が添えられていくのであった。




