173/5132
【城戸編41】消化試合の鬼流エース攻略法
シーズン最終週、明日から始まるイ軍対バ軍三連戦。
全チームの順位が確定してはいるものの、イ軍の主砲城戸にとっては首位打者と規定打席到達がかかった、重要な試合であった。
初戦のバ軍先発投手は、城戸が通算23打数0安打と全く打てていない、内角攻めが身上の左腕の植田。ほぼ確実に打率が下がるシチュエーションであり、普段であれば何くれと理由をつけて欠場するところであったが、規定打席に到達する為に打席を稼がねばならぬ状況では、出場する他ない。
そこで、城戸は植田対策で極秘特訓を実施。打撃投手に、
「内角に200球ほど頼むわ」
とオーダーして、打撃練習場に籠ったのであった。
しかし、打球音は全く聞こえず、練習を終えた城戸のユニフォームは何故か泥だらけになっていたという、何とも不可解な内容だったのである。
そして翌日の試合。
前日の特訓の成果で、城戸は植田から三打席連続「本当は当たってないデッドボール」をもぎ取り、バ軍からの猛抗議、そして乱闘を引き起こしながらも、打率低下を防止しつつ打数を稼ぐ超みっともない執念を見せたのであった。




