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イ軍流、選手名鑑活用法

　勝つ為に、もっと敵を知ろう。

　というイ軍草加部の発案で、球団から一軍ベンチ入り選手全員に選手名鑑が配られた。

　今年最下位だとチーム消滅という状況もあってか、試合中も選手名鑑を片手に熱心に書き込むイ軍ナインの姿が目立つようになり、チーム状況は確実に変わりつつあったように見えた。何と試合後には、書き込んだデータを元にして、自主的なミーティングまで行われるようになったというのである。

「今年のイ軍は何かが違う！」

　チーム消滅阻止に向けて一丸となったイ軍ナインに向けて、ファンの期待も高まる一方であった。

　――んな美談なワケがねえだろう。

　例によって新スポ記者が警備ザルの球場会議室に忍び込み、極秘取材を敢行。

　その結果、自主的なミーティングという名の「顔写真落書き品評会」というスクープが新スポ一面を飾ったのであった。