【マウンドの詐欺師 神崎編⑧】オレオレブルペン詐欺
シーズンも押し詰まった9月下旬。
イ軍は今年も投手陣が大炎上しまくった影響で、投手コーチがマシンガン解雇された結果、
「もう新しいコーチを雇う契約金が無い」
という事で、現役最年長である神崎がブルペン担当の投手コーチ代理となっていたものである。
そして、今日も今日とてブルペンにリリーフのスタンバイ要請電話が鳴るや否なや、
「はぁ? ヤマザキ…ンザ…ザキ? カン? …いや、よく聴こえねえ! はあ………わーった、分かりました! とにかく用意します!」
無駄にデカい声で、応答したのであった。
「おい、すげえな神崎の奴。これで5日連続リリーフだぜ」
「ああ、インセンティブが付く200回投球を達成する為に超必死だからな。ブルペンの電話がボロいとか何とか適当な事言って、ピッチャーの名前を聞き間違えたフリをしてマウンドに上がっちまうらしい」
「うはwwwwまた自分とこの監督とマウンドでもめてるwwwwwwww」
閑古鳥大絶叫スタンドに陣取る数少ないファンたちが失笑する中、「お前なんか呼んでねえ!」とキレまくる監督と、「いや、今日はブルペン電話の電波状況が悪かったんだよ」と適当極まりない弁解をかます神崎。イ軍名物である自軍内乱闘が、何の意味も面白味も無い消化試合に、花を添えた一夜となったのであった…。




