偽りの世代交代
秋風吹く9月末のセリーグ消化試合。
既に優勝が決まり、CSに向けた調整で主力投手を小刻みに継投すると宣言しているサ軍と、首位から44ゲーム離されたぶっちぎり最下位のイ軍との試合が、東京新宿スタジアムで開催された。
この日のイ軍オーダーは、主力の城戸、綿貫らの主力がベンチに下がり、長森、赤田ら、次代のイ軍を担う若手が先発出場。絶えて久しかった期待の新星の登場に、
「いよいよ若手に切り替わりよったか!これはイ軍の5年後が楽しみやで!」
等々、毎年「○年後が楽しみ」と言っているものの、それなりにテンションの高まる出来事だったのであった。
実際の試合でも、長森、赤田がそれぞれ一軍での1号本塁打を放つなど、イ軍新時代の到来を予感させた。
――だが、翌日は城戸ら腐りかけベテランが再びオーダーに名を連ね、相も変わらず気の無いプレーを披露。昨日のアレは一体何だったんだ…と、ファンたちを落胆せしめたのであった。
「そりゃ当然だろ。あんだけ主力バンバン出されちゃ絶対打てねえもんな。これから契約更改だっつーのに、ここまで来て打率落とせねえっつーの藁」
ベテラン連中がそう言ったとか言わなかったとか、ただ、若手にチャンスをやるという名目での仮病欠場だった事は、ほぼ間違いのないところのようであった…。




